Deja vu〜Feeling for You〜 (2)

「ス・・・スカー、大丈夫なのか?」
だ・・・大丈夫だ。体はな。ジェイド、お前、まだ目が見えないのか?
そういうスカーフェイスは、剥がされた顔のせいで、表情筋を上手く動せないためか、ひどくしゃ
べりにくそうだった。
「スカー、俺の目、本当に見えるようになるのだろうか?」
す・・・少なくとも・・・未来に帰れば、何とかなるだろ。ちくしょう!34年前の医療は全くお粗末
だぜ。俺様の顔についても、実に原始的な治療をしやがる。トレーニング器具だけでなく、医者
と医療器具も、未来から持ち込むべきだったぜ・・・
「本当だよなあ。レーラの腕だって、34年後なら、亡くなったボンベ先生のような天才じゃなくて
も、簡単につなげられたはずだったのに・・・」

ジェイドはそこまで言って、慌てて口を塞いだ。いけない、スカーを怒らせてしまう。昔、入れ替
え戦後の病院で会ったときも、今回トリニティーズを結成して一緒に練習したときも、さらには
試合が始まってからも、ジェイドは、レーラのことを口にするとスカーフェイスが露骨に不機嫌に
なることを分かっていた。
しかも、スカーと自分にとっては忌まわしい思い出である、腕の話までしてしまったので、ジェイ
ドは、非常にばつが悪かった。

ま・・・まったくだぜ。
しかし、スカーフェイスが全く不快を表した感じではないので、ジェイドはびっくりした。身体が弱
っているから、いつもの口の悪さも減退しているのだろうか・・・。
し・・・しかし、今だけは、お前の目が見えないことを感謝しているぜ。
スカーフェイスは言った。包帯の隙間から改めてジェイドのほうを見ると、サラサラの金髪が目
に入った。
「スカー、それ、どういうことだ?」
坊や、それくらいは、自分のオツムで考えな。
スカーフェイスは言った。サラサラの金髪に包まれた少年が、ちょっと戸惑ったような顔をして
立っている。今回は、親切に教えてなんかやるものか。
だって、お前にだけはこの姿は見せたくないから・・・、なんてな・・・。

ジェイド、そんなとこに立っていると、疲れるだろ。ここに座れ。
スカーフェイスはそう言って、ジェイドを自分のベッドの脇に腰掛けさせた。
腰を下ろして落ち着くと、ジェイドはようやく、この部屋に来たそもそもの目的を思い出した。
自分のせいでこんなになった、スカーに謝らなければ・・・。
こんな自分をパートナーに選んでくれたスカーに、礼を言わなければ・・・。

「ス、スカー・・・俺・・・」
ジェイドは、自分の頭でも上手くまとまっていない言葉を、とうとうと話し出した。
「お、俺のせいで、お前をこんな目に合わせてしまって・・・。」
スカーフェイスは黙って聞いている。ジェイドはさらに続ける。
「で、でも、スカー、分かってくれ。お、俺、お前とタッグを組めて、本当に嬉しかったんだ!お、
俺が頑張れたのは、全部お前のお陰・・・。」

うっとうしい、こいつの口を塞いでやりたい・・・。
スカーフェイスは、自らの唇を使うことができないことを、口惜しく思った。
そこで、暫くはジェイドがとりとめもなく語るのを黙って聞いていたが、ついに我慢ができなくなっ
た。
ジ・・・ジェイド、お、お前、少し黙ってろ。
スカーフェイスはそう言うと、ジェイドの口に親指を突っ込んだ。

かつてスカーフェイスに舌を引っ張られたことがあり、つい今しがたも、スカーがセイウチンの
舌を引っ張る場面を苦々しく見てしまったジェイドは、恐怖の余り、たじろいだ。そんなジェイド
の反応は想定済みなのか、スカーフェイスは、
大丈夫だ。お前の舌引っ張ったりしないから、安心しな。
と言う。

それを聞いていとも簡単に安心したジェイドは、改めて、口の中の異物を意識し始める。
こ、この指、スカーのきれいな指・・・。
いつしかジェイドは、黙って口の中の異物を、舌先で愛撫し始めた。
これが、スカーの指。俺が大好きだった、白くて長い指だ!
ジェイドは、そんな指に吸い付き、時に甘噛みし、愛撫を繰り返した。
ふとジェイドは、更なる衝動に駆られ、口から指を外した。

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