My Favorite Pupil〜Wanna make love to a man tonight who
doesn't tell me to go to bed with him tonight〜 (8)

食事が終わり、店を出ようとしたとき、バッファローマンが言った。
「なあ、燕ちゃん、もう1軒付き合わないか?お前たちが普段行けないような、大人の店につれ
てってやるぜ。」
「それって、エッチな店?」
「お前と一緒に、エッチな店に行っても、意味ねえだろ。飲み屋だよ。」
「俺は、別に構わないぜ。」
「お前、きれいなお姉さんと話がしたいか?」
「俺は特に、お姉さんには飢えてないけどな。それに、今日は、先生とデートしてんだぜ。」
「了解。」
バッファローマンは、スカーフェイスを連れて、同じ赤坂の行きつけのクラブに言った。

「ククク、せんせ、洒落かよ?俺、海外のファンの間で、"Eskara"って呼ばれてるんだぜ。」
スカーフェイスは、クラブの看板を見てそう言った。
そこは、クラブとはいっても、フロアレディが客席について、接客するわけではなく、バニーガー
ルに扮した若い女性が、給仕をするだけであった。
「いらっしゃいませ。」
「窓際の奥の席、空いてるか?」
「はい、空いております。」
受付にいたスーツの女性に案内され、二人は、窓際の一番隅の席に腰掛ける。まもなく、ウイ
スキーのボトルと水割りセットをバニーガールがワゴンに引っ張ってくる。
「燕ちゃん、お前、水割りでいいか?何かの見たいものあったら、遠慮なく言え。」
「せんせ、俺は水割りで大丈夫ですよ。」
バニーガールが、二人の水割りを作った。
「あと、燕ちゃん、ここ料理も美味いから、食いたいもんあったら、何でも頼め。」
「俺、結構腹いっぱいだな。野菜スティックでいいや。」
バッファローマンは、バニーガールに、野菜スティックと、チーズの盛り合わせを注文した。
「本当は、お姉さんが席についてくれる店にお前を一度連れてってやりたかったんだがな・・・。
だが、そうすると、俺たち同士が、なかなか込み入った会話できなくなっちまうからな。」
「いや、俺は、バニー様で十分ですぜ。」
「俺はお前で十分だな。お前より別嬪なお姉さんなんて、どの店探してもいないぞ。」
「それは光栄で。では、二人のデートに乾杯!」
二人は、水割りグラスを交わした。

スカーフェイスは、実のところ、悪行超人時代からバッファローマンに憧れていた。一流のリジ
ェンド達の技の研究には怠らなかったが、特に、バッファローマンのファイトについてはよく研究
し、万太郎との戦いで使った、いわゆる「キン肉バスター返し」は、まさにその賜物であった。
バッファローマンの他に、悪魔将軍やネプチューンマンのファイトにも憧れ、もちろん研究も行
ってきたが、何者にも縛られず、自分の欲望の赴くままに生きているようなバッファローマン
に、より強い共感を覚えた。
スカーフェイスは、己の企みを達成するため、HFに入校したが、自分が一目置くことのできな
い教官の授業や、本を読んでも分かることをダラダラ説明され、挙句の果てに精神論や正義
超人はこうあるべき論までぶちまかされる学科には、いたって不真面目な態度であった。ラー
メンマンとバッファローマンの実技だけは真面目に取り組んでいたが、個人的に近づいてみた
いと感じるのは、ストイックな感じのするラーメンマンよりもバッファローマンであった。

そう言えばこの人、セクハラ親爺で有名なんだよな。
俺は、この先生の誘いを気軽に受けちまったが、この人、もしかして俺のこと狙ってる?
冗談じゃないぜ!こんなデカい牛相手にしたら、俺の肉体的ダメージが大きすぎる。
スカーフェイスはそう思って、バッファローマンのロングホーンに目をやった。
しかし、俺はコイツのこと、嫌いではない。条件次第では、食わせてやっても・・・。
再び、やや薄暗いクラブの中でロングホーンが黒光りしているのが目に入る。
あ、いや、まんまとこいつの策略にはまって食われてなんかやるものか!

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