My Favorite Pupil〜Wanna make love to a man tonight who
doesn't tell me to go to bed with him tonight〜 (7)

翌日、バッファローマンがホテルの喫茶店に着いたとき、スカーフェイスは既に席に座ってい
た。
「お前、まだ注文してなかったのかよ?」
カジュアルなスーツを纏ったバッファローマンが、声をかけた。
「あ、いや、俺もさっき着いたばかりだから・・・。」
「まあ、入っちまったんだから、とりあえず、一杯ずつ飲んで、移動しよう。お前、何がいい?」
「じゃあ、生絞りグレープフルーツジュースで・・・。」
「お前、体に似合わず、可愛いもの飲んでんのは、相変わらずだな・・・。」
バッファローマンは、生絞りグレープフルーツジュースと、ホットコーヒーを注文した。
「お前、今日は何が食べたい?」
「先生に、お任せしますぜ。」
「お前、ベジタリアンだったっけ?」
「普段はそうだが、付き合いのときは通利かせてるぜ。」
「なら、珍しいから、メキシカンなんかはどうだ?この近くに知ってるとこあるんだが・・・。あそこ
なら、お前の好きそうなものも結構取れるし、それに、二人用のテーブルが、パーティションで
区切られてるから、話がしやすいだろ。」
その店は、バッファローマンが、赤坂の夜の蝶との同伴に時々使うところでもあった。
「先生に、お任せしますぜ。」
二人はドリンクを飲み終わると、その店に移動した。

「燕ちゃんよ、とりあえず、飲み物何にする?お前、アルコールは飲むんだっけ?」
「飲めないわけではないが、普段は飲まないし、飲むときもそんなに飲まないぜ。なんせ、24
時間臨戦態勢だったものだから、正義超人のおっさん達が人前でアルコールを飲んで酔っ払
ってるのは、dMPにいた俺には信じられなかったぜ。」
「まあ、今日は好きなものを飲め!俺たち二人が、襲われるわけないだろ。」
「というか、先生に襲われる危険の方が高いな・・・。まあ、俺は簡単には酔っ払わないから、と
りあえず、メキシカンだから、コロナビールで。」
「了解。」
バッファローマンは、大ジョッキ1杯と、コロナビール1本を注文した。

"Cheers!"
飲み物が来ると、二人は乾杯を交わした。
「で、せんせ、俺に何が聞きたいんだ?」
いきなり、スカーフェイスの方から聞いてきた。
「まあ、あのだなあ・・・ストレートに聞くと、お前、ジェイドを食ったのか?」
バッファローマンの突然の質問に、スカーフェイスは吹き出した。
「せ、せんせ、これまたいきなり直球だね。で、食ったと言ったら、どうするんだ?」
「まあ、俺は聖人君子じゃねえから、特に何もしないぜ。悪いとも思わない。ただ、ジェイドの師
匠が、ジェイドの様子が変わったことを異常に心配してたからな。その原因を、確認したいと思
ってよ。」
「ジ・・・ジェイドの様子が、変なのか?」
スカーフェイスの表情が少し変わったことを、バッファローマンは見逃さなかった。
「あ、いや、俺に言わせれば、思春期特有の現象だがな・・・。それと、ちょっと元気がないよう
だが、その原因は、どうやらお前が黙って消えちまったかららしいぜ。あいつ、二期生としてお
前とやり直したかったらしいんだが、まさかお前が、HFに頭下げて戻ってくるわけないよ
な・・・。というか、これ、HFの教官の俺が言うことじゃないがな。」
「で、せんせ、俺とジェイドとの関係を調べて、どうやって、その問題を解決しようとしているのか
な?」
「お前が、なぜジェイドに近づいたにも関わらず、去ったのかと思ってさ。まあ、俺には大体想
像がつくが・・・。というより、お前、ジェイドが好きか?」
「せ、せんせ、これまた直球だね。で、好きと言ったらどうなって、好きじゃないと言ったらどうな
るんだい?」
「あ、いや、あいつの師匠がな、お前がもし欲望のためにあいつを弄んだのであれば、お前を
殺してやるといってさ。まあ、お前のような怪物を殺すことは、物理的に無理だろうが・・・。で、
俺としても、お前がジェイドを犯したとしたら、それは単なる征服欲・・・悪行超人の世界じゃ、倒
したヤツを犯すのは日常茶飯事だろ・・・からなのか、それとも、あいつを本当に気に入ってた
のか、その辺り、ちょっと興味があってな。まあ、俺は、お前がどっちでもいいと思ってるし、そ
の結果を師匠にそのまま報告する気はないが・・・。」
「せんせ、その質問に対する答え、俺自身が答えられない・・・というか、分かってないとした
ら?」
スカーフェイスは、少し上目遣いで、バッファローマンの顔をじっと見た。バッファローマンは、そ
のなんとも妖艶な目つきに、おもわずどきっとした。
俺は馬鹿な質問をしたかも知れないな。
こいつ自身、自分の感情が分からない・・・それは、十分ありうることだし、むしろ、その方が自
然だろう・・・。
「では、質問を変えよう。お前、ジェイド達のところに、いつか戻ってくる気はあるのか?」
「せんせ、その質問も答えられないぜ。縁があれば・・・と答えておこうか。だが、少なくとも、HF
には戻る気はないな。先生には悪いがな。」
確かにそうかもしれないと、バッファローマンは思った。
自分自身、悪魔超人時代、正義超人の仲間入りをするなど思ったこともなかった。キン肉スグ
ルに破れ、改心の兆しを見せて制裁を受けたあとも、再び悪魔将軍の力により復活を果たし
た。悪魔騎士戦で、悪魔将軍に恩を受けていながらも正義超人に加担したのは、今こそ自分
の力が生かせるときだと、体が勝手に動いたのだった。
「そうか、俺がまた馬鹿なこと聞いちまったな。さあ、そろそろゆっくり食事をしよう。」
肝心の質問に対する答えは、まともに得られなかった。だが、バッファローマンは、スカーフェイ
スとの会話を通じて、彼のちょっとした反応や表情を見て、確信した。
あいつは、ジェイドのことを憎からず思っている。
そして、あいつは、いつか戻ってくる。

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