My Favorite Pupil〜Wanna make love to a man tonight who
doesn't tell me to go to bed with him tonight〜 (2)

「実は、ジェイドの様子が、最近変なんだ。2週間前に退院したんだけど、やたらと俺を避ける
し、何か隠し事しているような様子だし・・・。でも、よくよく思い起こしてみると、入院中からおか
しくなったんだ。」
「どんな感じなんだ?」
「俺は毎日朝からあいつを病院に見舞いに行ってたんだが、ある朝、俺が病院に行くと、あい
つは布団を頭までかぶっていて、俺の方を見ようともしないんだ。布団をちょっとめくって、俺が
話しかけても、あいつはぼうっとして、それでいてちょっと憂鬱な表情をしていて、俺が何を言っ
ても耳に入っていない様子だったんだ。その朝以降、基本的にずっとそんな感じで・・・。その朝
までは、あいつ、あんな重傷を負っていたけど、俺が見舞いに行くとすごく嬉しそうな表情をし
て、今日病院であったこととか、自分の気持ちとか、全部俺にしゃべってくれてたんだ。でも、あ
の日以降、あいつは殆ど俺としゃべらなくなった。退院してからもずっとそんな感じで、以前は、
俺が外から帰ってくると嬉しそうに抱きついたり、夜はおやすみのキスをしたりしてくれてたの
が、今は、俺と指一本触れるのも抵抗を感じているようで・・・。家にいても、ドアを閉めて部屋
にこもりきりなんだ。入院前のあいつと余りに違うから、俺はどうしていいか分からなくて・・・。」
「で、お前、そうなった原因について、何か心当たりはあるのか?」
バッファローマンが尋ねると、ブロッケンJrは、よく聞いてくれたと言わんばかりに身を乗り出し
た。
「そ、それなんだ。俺が今回お前に相談しようと思ったのは、まさにその点なんだ。」
「ほう。」
「実は、後から考えると、ジェイドがおかしくなった日というのは、スカーフェイスの野郎が病院
から脱走して消えていた日と一致するんだ。それだけじゃない。ジェイドのやつ、あの朝まで
は、やたらとスカーフェイスのことを口にしていた。やつのせいであいつはあんな重傷負わされ
たくせに、あいつは、スカーはどうしているんだろうとか、大丈夫だろうかとか、二期生として仲
間に戻れるのだろうかとか、そんなことばっかり言ってた。まあ俺は、自分の体よりも、自分を
ズタズタにした悪党のことを気にかけるジェイドが理解できなくて、軽く聞き流してたんだ
が・・・。それが、あの朝以来、スカーフェイスのスの字も口にしてないんだぜ。」
「そ、そうか・・・。他にも何かあるのか?」
「ああ。実はあの朝、あいつは布団に潜っていたので、あまり観察することはできなかったんだ
が、ちょっと布団をめくって話しかけた時、やたらと、引っかき傷や痣のようなものが見えたよう
な気がしないでもない。まあ、今となっては、確認しようがないが・・・。」
「で、お前はこれらについて、どう考えたんだ?」
「ああ。俺は、ある恐ろしい考えに行き着いた。すなわち、スカーフェイス・・・あの赤い悪魔が、
脱走前にあいつに危害を加えたのではないかとな。」
「でも、それだけならあいつがお前を避けている理由にはならないぜ。むしろあいつは、スカー
への憎しみから、お前と連帯感を強めるんじゃないか?」
「バッファ、俺の話は終わっちゃいないぜ。俺が『危害を加えた』と言ったのは、その、つまり、
犯したってことだ。ジェイドが抵抗できなかったのは、怪我がまだ治ってなかったから・・・。ある
いは、あいつ多分まだそういうこと何にも知らなかったから、あの悪魔野郎の口車に乗せられ
て、行くところまで行ってしまって、引き返せない状態になったのかも知れない・・・。いずれにせ
よ、あいつはあの悪魔に犯されたんだ・・・。」
ブロッケンJrは頭を抱えた。その表情は、悲痛そのものだった。

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