会話は、いつの間にか途絶えていた。照明は完全に落とした訳ではないので、薄明かりの中、
ソルジャーの顔が見える。瞼は閉じているようだ。ソルジャーは、眠っているのか・・・。しかし、 その顔は迷彩柄のマスクで覆われているので、表情を見ることはできない。
眠れないブロッケンJrは、何度も寝返りを打った。そうこうしている内に、散々アルコールを飲
んだ後の喉の渇きを覚えたので、ミネラルウオーターを飲もうと、そっと立ち上がる。テーブル の上で、グラスにミネラルウオーターを注ぐ。静まり返った空間の中、ミネラルウオーターが注 がれる音だけが、耳に入ってくる。
ブロッケンJrがグラスを手にとって、もう一度、ソルジャーの方を見ると、ソルジャーが目を開け
ている。
「ソ、ソルジャー、すまない。起こしてしまって申し訳ありませんでした・・・。」
ブロッケンJrが慌てて言う。
「いや、私は別に眠ってた訳ではない・・・。」
ミネラルウオーターを飲み干したブロッケンJrは、再びベッドに仰向けに横になった。眠れそう
にないが、そっと目を閉じてみた。
突然、隣の男が立ち上がって、こちらに近づいてくる気配がする。その男は、仰向けで寝てい
るブロッケンJrの上に覆いかぶさるようにして、顔を近づけて言った。
「ブロッケンJrよ、本当に有難う。お前と一緒にいた日々は、私の最高の思い出となるだろう。」
男はそう言って、迷彩柄のマスクをずらしたかと思うと、いきなり、ブロッケンJrの唇を自らの唇
で塞いだ。
仰向けの男は、高まる興奮の余り、声が出なかった。上の男は、半開きになった下の男の口
の中に舌を入れ、下の男の舌に絡ませてくる。下の男も、自然と、その舌に吸い付く。二人の 男は、何度も何度も濃厚な口付けを交わした。
迷彩服を着た男の手が、仰向けに寝ている男の軍服に伸びてくる。そして、ゆっくりと軍服を脱
がす。すると、ベッドの上に、男の抜けるように白い肌が浮かび上がる。
迷彩服を着た男は、下にいる男の真っ白な上半身に愛撫を繰り返す。首筋から肩、乳首、脇
腹、下腹部へと、男の唇が移動していく。
迷彩服を着た男の唇が、下にいる男の下腹部に到達すると、今度は、ベルトに手を掛け、そ
れを外し、ズボンの中に手が入ってくる。
「ソ、ソルジャー・・・。」
先ほどまで寡黙でいた下の男が、思わず声を挙げる。
「大丈夫だ、私に任せろ。お前は大人しく横になっていればよい。」
迷彩服の男はそう言って、下の男のズボンの中のものに愛撫を繰り返す。下の男のズボンと
その中の下着が、次第に引き下げられていく。
同じベッドの上で、二人の男が熟睡している。色白の男の頭が、迷彩柄のマスクをした男の腕
に乗せられている。そのマスクは、鼻の辺りまでめくられている。
色白の男は、先ほど迷彩柄のマスクをした男に侵入されたとき、高まりすぎるほど十分に高ま
っており、そして、迷彩柄のマスクをした男の手さばきは実に見事で、このような行為は手馴れ たものであったが、やはり、初めての経験で、しかも、自然界では行うことが前提とされていな い行為であったので、ひどい痛みを覚えた。しかし、あまりの興奮状態が、その痛みを痛みと 感じる間も与えずに、迷彩柄のマスクの男を受け入れさせた。
朝日が差し込み、部屋がだんだん明るくなってくる。早起きが習慣づいている色白の男が目を
覚まし、立ち上がろうとする。体の節々が痛い。
色白の男の頭の感触がなくなって、迷彩柄のマスクをした男も目を覚ます。そして、鼻の辺りま
でめくれていたマスクを、元に戻した。
「ソ、ソルジャー、もう朝のようだ。俺は、いったん自分の部屋に戻ります。」
「そうか、残念だな。」
色白の男が、軍服を着て、部屋を出ようとするとき、迷彩柄のマスクをした男が近づいてきた。
「じゃあな。昨日は有難う・・・。」
そう言って、再びマスクをめくり、軍服の男に唇を合わせた。
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