It Shouldn't Be Just a Memory... (3)

会話は、いつの間にか途絶えていた。照明は完全に落とした訳ではないので、薄明かりの中、
ソルジャーの顔が見える。瞼は閉じているようだ。ソルジャーは、眠っているのか・・・。しかし、
その顔は迷彩柄のマスクで覆われているので、表情を見ることはできない。
眠れないブロッケンJrは、何度も寝返りを打った。そうこうしている内に、散々アルコールを飲
んだ後の喉の渇きを覚えたので、ミネラルウオーターを飲もうと、そっと立ち上がる。テーブル
の上で、グラスにミネラルウオーターを注ぐ。静まり返った空間の中、ミネラルウオーターが注
がれる音だけが、耳に入ってくる。
ブロッケンJrがグラスを手にとって、もう一度、ソルジャーの方を見ると、ソルジャーが目を開け
ている。
「ソ、ソルジャー、すまない。起こしてしまって申し訳ありませんでした・・・。」
ブロッケンJrが慌てて言う。
「いや、私は別に眠ってた訳ではない・・・。」

ミネラルウオーターを飲み干したブロッケンJrは、再びベッドに仰向けに横になった。眠れそう
にないが、そっと目を閉じてみた。
突然、隣の男が立ち上がって、こちらに近づいてくる気配がする。その男は、仰向けで寝てい
るブロッケンJrの上に覆いかぶさるようにして、顔を近づけて言った。
「ブロッケンJrよ、本当に有難う。お前と一緒にいた日々は、私の最高の思い出となるだろう。」
男はそう言って、迷彩柄のマスクをずらしたかと思うと、いきなり、ブロッケンJrの唇を自らの唇
で塞いだ。

仰向けの男は、高まる興奮の余り、声が出なかった。上の男は、半開きになった下の男の口
の中に舌を入れ、下の男の舌に絡ませてくる。下の男も、自然と、その舌に吸い付く。二人の
男は、何度も何度も濃厚な口付けを交わした。
迷彩服を着た男の手が、仰向けに寝ている男の軍服に伸びてくる。そして、ゆっくりと軍服を脱
がす。すると、ベッドの上に、男の抜けるように白い肌が浮かび上がる。
迷彩服を着た男は、下にいる男の真っ白な上半身に愛撫を繰り返す。首筋から肩、乳首、脇
腹、下腹部へと、男の唇が移動していく。
迷彩服を着た男の唇が、下にいる男の下腹部に到達すると、今度は、ベルトに手を掛け、そ
れを外し、ズボンの中に手が入ってくる。

「ソ、ソルジャー・・・。」
先ほどまで寡黙でいた下の男が、思わず声を挙げる。
「大丈夫だ、私に任せろ。お前は大人しく横になっていればよい。」
迷彩服の男はそう言って、下の男のズボンの中のものに愛撫を繰り返す。下の男のズボンと
その中の下着が、次第に引き下げられていく。

**********

同じベッドの上で、二人の男が熟睡している。色白の男の頭が、迷彩柄のマスクをした男の腕
に乗せられている。そのマスクは、鼻の辺りまでめくられている。
色白の男は、先ほど迷彩柄のマスクをした男に侵入されたとき、高まりすぎるほど十分に高ま
っており、そして、迷彩柄のマスクをした男の手さばきは実に見事で、このような行為は手馴れ
たものであったが、やはり、初めての経験で、しかも、自然界では行うことが前提とされていな
い行為であったので、ひどい痛みを覚えた。しかし、あまりの興奮状態が、その痛みを痛みと
感じる間も与えずに、迷彩柄のマスクの男を受け入れさせた。

朝日が差し込み、部屋がだんだん明るくなってくる。早起きが習慣づいている色白の男が目を
覚まし、立ち上がろうとする。体の節々が痛い。
色白の男の頭の感触がなくなって、迷彩柄のマスクをした男も目を覚ます。そして、鼻の辺りま
でめくれていたマスクを、元に戻した。
「ソ、ソルジャー、もう朝のようだ。俺は、いったん自分の部屋に戻ります。」
「そうか、残念だな。」

色白の男が、軍服を着て、部屋を出ようとするとき、迷彩柄のマスクをした男が近づいてきた。
「じゃあな。昨日は有難う・・・。」
そう言って、再びマスクをめくり、軍服の男に唇を合わせた。

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