What's Your Poison? (3)

ワインを飲み干したジェイドは、呆然と、ベッドの脇に立っていた。
頭がぐるぐる回っている。
お、俺、どうなってしまうのだろう・・・?やはり、レーラの言うことを聞かなかった罰なのか・・・?
やけに体が熱い・・・。み、水が欲しい・・・。
ジェイドは、ふらふらする足で、台所に向かって歩き始めた。

ガシャーン!
ものすごい音が、台所でした。水を飲もうとしたジェイドが、台所でひっくり返って、食器戸棚に
ぶつかり、食器戸棚が倒れたのだった。
その音に、ジェイドのベッドで寝ていたブロッケンJrは目が覚め、慌てて、台所に駆けつけた。
酔いは、すっかり醒めていた。

「ジ、ジェイド、大丈夫か!?」
レ・・・レーラ・・・。
台所で倒れていたジェイドが、かすかに返事をする。
レーラ、ご、ごめんなさい・・・。俺、レーラの言いつけを破って、レーラのお酒をの、飲んでしま
いました。だって、レーラの辛い気持ちを、少しでも理解したかったから・・・。
「ジェイド、何も言うな!水をいっぱい飲んで、ベッドで横になっていろ!」
ブロッケンJrがそう言ってジェイドを抱き起こすと、ジェイドの顔は、いや、顔だけでなく、胸も腕
も、露出している肌は全て、ピンク色に赤らんでいた。ブロッケンJrを見つめたジェイドの目は、
潤んでおり、何とも色っぽかった。

ご、ごめんなさい、叔父さん、叔母さん・・・。お、俺は、あなた達を助けることができなかっ
た・・・。
突然ジェイドは、そう叫んで、泣き出した。
お、俺のせいで、こんな俺を育ててくれたがために、あなた達は、何の悪いこともしていない
のに襲われてしまったというのに・・・。
「ジ・・・ジェイド〜!」
ブロッケンJrは、ジェイドをきつく抱きしめた。
「ジェイド、お前は悪くない。お前自身は、何も悪くないのだ!」

「レ、レーラ・・・。」
再びブロッケンJrを見たジェイドの目は、一段と色っぽかった。12〜13歳ごろの西洋人の少
年は、一般的に、スラリとして中性的で、まるで15〜16歳の少女のようである。超人として、
格闘技で鍛えたジェイドの体は、さすがに、一般的な12〜13歳の少年よりははるかに筋肉
隆々としていたが、まだやや超人としては華奢な身体と、大きな翡翠色の瞳の愛らしい顔と
は、まるで美少女のようであった。

あ、熱い・・・。
突然ジェイドはそう言って、立ち上がると、上半身の上着を脱ぎ、ヘルメットも取ってしまった。
中からフサフサの金髪が、流れ落ちてきた。
レ、レーラ・・・。どこにも行かないで下さい!レーラだけは、ずっと俺と一緒にいて下さい!
ジェイドはそう言って、上から、ブロッケンJrに抱きついてきた。そのまま、ブロッケンJrを床に
押し倒す。
レーラの肌、と、とても白い・・・。ベルリンの、雪のようだ・・・。
ジェイドは、金髪を振り乱してブロッケンJrの上に覆いかぶさり、ブロッケンJrの首筋の白い肌
に口付けをする。そして、何度も甘噛みを繰り返す。
「ジ・・・ジェイド、やめてくれ・・・。」
ブロッケンJrはそう言って、両手でジェイドの体を持ち上げて、離そうとする。
一瞬離されたジェイドは、ブロッケンJrの首筋が赤くなっているのに気づく。
レ、レーラ、ごめんなさい・・・。本当にごめんなさい・・・。
今度は、そう言って、翡翠色の瞳からはらはらと涙を流す。
「い、いや、そんなに誤る必要はない。」

ジェイドがまた、突然、叫び出す。
レ、レーラ、俺は悪い子です。俺のせいで、叔父さんと叔母さんが殺されてしまいました。俺
は、本当に悪い子です。お、俺を、めちゃくちゃにして下さい・・・。
ブロッケンJrがジェイドの方を見ると、金髪の美少女のような少年が、潤んだ目でこちらを見つ
めていた。
ブロッケンJrは、ジェイドを抱きしめた。フサフサの金髪が、顔に触れてくる感触に、思わずど
きっとする。ブロッケンJrは、ジェイドを一瞬きつく抱きしめると、徐々にその手を緩めた。そし
て、金髪の頭を撫でながら言った。
「ジェイド、お前は悪くはない。お、俺が悪かった・・・。だから、お願いだから、いい子でおとなし
くしておくれ。」
ブロッケンJrはそう言うと、ジェイドを抱きかかえ、ベッドに連れて行った。そして、ジェイドをベッ
ドに寝かせると、上から毛布を掛けてやった。
レ、レーラ、俺を、めちゃくちゃにして下さい・・・。
ジェイドはベッドの中で相変わらずそう叫んでいたが、先ほどからの疲れが出たのか、あるい
は、アルコールが回ったためか、その声は、心持ち、弱くなっていた。
「ジェイド、おやすみ。お前はいい子だ。俺の、かけがえのない弟子だ。」
ブロッケンJrは、屈み込み、ジェイドの唇に軽くキスをする。そして、立ち上がり、部屋を出よう
とする。部屋を出る前に、もう一度、ジェイドの方を見る。ジェイドはもう、何も言っていない。や
がて、深い眠りに落ちていく。
「おやすみ、ジェイド・・・。」
ブロッケンJrはもう一度そうつぶやき、部屋を出て行った。

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