My Favorite Pupil〜Wanna make love to a man tonight who
doesn't tell me to go to bed with him tonight〜 (10)

「せんせ、グラスが空いてるぜ。俺が作ってやる。」
スカーフェイスがそう言って、バッファローマンのグラスを手にしようとすると、バッファローマン
が時計を見て言った。
「もうすぐ11時か・・・。この店も閉店だな。」
「随分早いんだな・・・。」
「よっし!ラーメン食って帰るぞ。」
「先生、こんな夜中に、まだ食うのかよ?」
「ま、お前もたまにはいいだろ。この近くに、すげえ上手いラーメン屋があるんだ。麺先生も、ご
推奨だぜ。」
「分かったよ。」
二人がラーメン屋にやって来ると、客席は満席のようだった。
「へえ〜、こんな時間に、繁盛してるな・・・。」
「みんな、さっきまで飲んでた客さ。まあ、席はすぐ空くから、ちょっとだけ待ってろ。」

二人はビールを1本ずつ飲んでラーメンを食べただけだったが、店が混雑していたため、ラー
メン屋を出たときは、既に12時近くなっていた。
「じゃあな、燕ちゃん、今日は色々付き合ってくれて有難うな。」

へえ〜、俺を口説かないんだ?口説かれたら、どうやって切り替えそうかと色々考えてたんだ
けどな・・・。

スカーフェイスは答えた。
「こちらこそ、大変ご馳走様でした。それに、先生とデートできて、楽しかったぜ。」
「じゃあな。」
と言いながら、バッファローマンが手を上げてタクシーを止めた。
「おい、燕ちゃん、今日は久しぶりに飲みすぎただろ。これで帰れ。」
バッファローマンはそう言うと、スカーフェイスの手に1万円札を握らせ、タクシーに押し込もうと
した。
おい、先生、マジかよ?
スカーフェイスは、一瞬ぼうっとした。

今夜したいと言わない人と今夜したい。
この言葉は確か、とある有名なお姉さんの言葉だったような・・・。

「おい、せんせ、一人で帰るなんて、それはねえだろ!」
突然、スカーフェイスはそう言うと、バッファローマンの手を引いて、タクシーに乗り込んだ。
「燕ちゃん、こんな時間に、これから何処に行くつもりなんだ?」
「フン、分かってるくせに。」
スカーフェイスはそう言って、上目遣いでバッファローマンのほうをチラリと見ると、左手をバッ
ファローマンの太腿の上に乗せた。
「フ、なら俺も、朝までとことん付き合うぜ。運転手さん、渋谷に行ってくれるか?」

俺は、結局、この親爺の策略にまんまと嵌っちまったのか・・・。
タクシーの中で、スカーフェイスは思い巡らせた。
ま、どっちでも、俺にはいいか。
しかし、スカーフェイスは、すぐにそのことについて考えるのをやめた。

二人には狭過ぎるタクシーの後部座席で、後ろの車から見ると、バッファローマンのロングホ
ーンが怪しく光っていた。
二人を乗せたタクシーは、青山通りに入り、渋谷に向かって消えて行った。

END

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